PFAS取り組み強化、酒井市長に要請
少し前になりますが、9月27日、第3回定例市議会の一般質問で①子どもの権利条例と子どもの遊び②有機フッ素化合物PFASによる水汚染問題③非核都市宣言―の大きく3点について質問をしました。
子ども権利などに関しても後日改めてお知らせしたいと思いますが、まずはPFAS問題について報告します。答弁は既に報道された範囲内でしたので、答弁と質問自体は省き、私の主張部分をご紹介します。酒井大史・新市長が誕生し、市の姿勢も変わってきましたが、原因究明や米軍基地への立ち入り調査などに向け、新市長の背中を押す意味でも、皆が発信・発言し続けていくことが大切だと思っています。
【あべみさ発言(PFAS関連ほぼ全文)】現在、18万5000人の立川市民の方々が、そして多摩地域で暮らす400万人以上の方々が最も心配している問題の一つが、有機フッ素化合物PFASによる水汚染の問題だと思います。
武蔵野市では小中学校18カ所にある災害時用井戸に非常用浄水器を付ける、調布市では市内の井戸、最大115カ所でPFAS濃度を測定するための水質調査を行う、と報じられています。市民の不安に応える新たな取り組みが始まっています。
これまでの本市は、取り組み面で大きく立ち遅れていたのではないかと思いますが、酒井市長は積極的に取り組む決意を表明しました。「国分寺の事例を参考に実態調査など年度内にも始める」と表明し、既に庁内に「PFAS対策会議」も立ち上げた。今後の動きとしては、市所有の井戸2ヶ所をまず調査し、市内19カ所の民間の井戸は、所有者の協力を得る必要もあり、環境を整えた上で調査をしていくとの2段階方式で実施するということです。
市長の言う「実態把握」のためにも、でき得る限り早期に、広範囲にわたる井戸水・地下水調査を実施することが必要だと考えます。所有者や管理者に対し、市内全井戸の調査への協力をお願いし、ぜひ(所在を把握している民間所有の井戸)174本分の補正予算などをつけて、今後調査していただけたらと思います。
【基地への立ち入り調査】更なる汚染拡大を防止するためにも、原因特定は何より必要だと思います。米軍横田基地では、既に泡消火剤が漏出したと認めています。米軍横田基地への立ち入り調査は必要だと考えていますが、木原防衛大臣も22日の記者会見で「立ち入り調査については、立川市をはじめとする関係自治体の皆様方と相談しながら、適切に対応する」と述べています。
市長は、昨日の代表質問に対する答弁の中で、日米環境補足協定に基づいて実施できる立入検査は、現に発生している事案、現在進行中の事案に関して可能なので、過去の事案に起因する今回のようなケースには当てはまらないという趣旨の発言をした、と思います。環境補足協定に基づく立ち入り調査は確かにその通りですが、 日米合同委員会が1973年に合意した「環境に関する協力について」という取り決めに基づけば、現に発生していなくても、米軍側から通報がなくても、視察やサンプル入手について米軍側に許可を求めることは可能だとの指摘もあります。環境補足協定だけを根拠に「立ち入り調査はできない」と考えるのではなく、ぜひ、そうしたことの可能性も追求していただきたいと思います。本市から防衛省に対し、相談・要請等のアクションを取り、関係自治体の先頭に立って、立ち入り調査を実現させていただきたいと思います。
また立川市には陸上自衛隊の駐屯地が二つあります。過去に立川駐屯地でもPFASが保管されていました。泡消火剤設備専用水槽は昨年11月に清掃が終わり、PFAS汚染水漏出の危険はなくなったようですが、水槽周辺の土壌汚染等は否定できません。航空自衛隊の浜松基地周辺では、河川がPFASで汚染されていたことが分かり、市が基地内の調査を要請し、防衛省が基地内を調査する方針を示しています。立川駐屯地内での土壌調査等も必要ではないでしょうか。
【血液検査】市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が、希望者を対象にPFASの血中濃度を測る検査をしたのはご存じの通りです。つい先日、追加調査の結果も加えた800人弱に対する調査結果が発表されましたが、ほぼ全員の血液からPFASが検出され、半数弱の方から米国アカデミーの定める指針値を超えるPFASが検出されました。立川市に限ってみれば実に74%の方から指針値以上のPFASが検出され、多くの方が健康被害などを懸念しています。今回の追加調査によって西多摩、南多摩に比べて、本市など北多摩で、血中濃度が高いこともより明確になってきました。
環境省の専門家会議の報告書「今後の対応の方向性」は「地域での血中濃度調査の実施については、血中濃度のみを測定しても健康影響を把握できないのが現状」だと指摘していますが、この文章は血中濃度だけで「こういう病気になる」と予想したり、診断したりすることはできないと言っているに過ぎないと思います。発がんや免疫低下等の関連性については国内外で既に多数報告されていますし、海外では評価値を設定している国もあります。そもそも、血中濃度を把握していなければ、仮にPFASによる健康被害が発生した場合でも、その被害とPFASとの関連に気づくこともできないのではないでしょうか。
市長は、国が行っている 「化学物質の人への暴露量モニタリング調査」の結果を待ちたいと言っていましたが、この調査の対象は2021年度はわずか119人であり、場所は3カ所に限られているということです。報道によれば、環境省は調査を全国規模に拡大するそうですが、開始は 2025年度以降となっています。これからまだ2年も後に全国調査を始めるというのでは遅すぎると思います。ぜひ東京都の検査機関などを活用し、やっていけるようにお願いしたいと思います。
【水質の規制値】米国が年内に決定する予定の規制値案は、PFOS,PFOAについていずれも4ng/Lとしています。これは日本の暫定目標値よりはるかに厳しいものとなっています。こうした米国の厳しい規制値案については、どのように認識されているでしょうか。米環境保護局は発がん性物質の可能性があるので、4ng/Lでも高いのではないかということで、目標値は実質ゼロという案も同時に発表されています。国は専門家会議で目標値の設定等について検討しているとしていますが、その動きはとてもゆっくりです。会議での議事録を見てみますと、「当面暫定値で様子を見ていくということで合意ができたと思います」なんてことまで言っているぐらいです。
沖縄県では8月下旬に、県全域での水質と土壌の調査を始めています。本市としても土壌調査を行うべきだと思います。国からも測定の仕方などが届いていると思います。今から検討を進めていただければと思っております。
上水道を所管している東京都では、水道水のPFAS濃度さえ下がればいいと考えているのかもしれません。しかし、多摩地域の住民にとって地下水は貴重な財産です。立川生活者ネットワークは、その貴重な財産である地下水を浄化し、再び飲用水として使えるようにする必要があると考えています。
酒井市長におかれましては「予防原則」の立場に立って、そして市民の立場に立って、今後もPFASの問題に真剣に取り組んでいただければと思います。