砂川地域の歴史を消さないで
砂川町にある砂川学習館に先日、行ってきました。ここにはこれまでも何度かお邪魔していますが、常設展示「立川市砂川地域 歴史と文化の資料コーナー」を改めてじっくり見たいと思ったからです。皆さんは既にご存じでしょうか? 先月24日、立川市の教育長が市議会の答弁で、現在計画中の学習館建て替えに伴い、この常設展示コーナーを廃止する方針を明確にしたのです。新施設では床面積が20%減ることなどを理由に挙げ、現在の展示物は、富士見町3丁目にある歴史民俗資料館で、展示ではなく、保管するとの考えも示しました。
この展示はご存じのように、農家の方たちが農地や地域社会を守るため米軍立川基地(当時)拡張計画の撤回を求めて立ち上がった「砂川闘争」(1955年~)を中心に、旧砂川町の歴史を紹介しています。決して十分な内容とは言えませんが、写真パネルや関連する品々を通じて砂川闘争の空気を感じ、ここがあの歴史の現場なのだと実感することができます。砂川闘争は忘れてはならない住民運動・市民運動の歴史であり、地元の意向を無視した強権的な政府に対する勝利の歴史でもありました。(展示コーナーには「米軍駐留は憲法違反」とした有名な伊達判決を報じる新聞記事も展示されています)
基地の跡地には国営昭和記念公園や学術施設、市役所新庁舎などができ、最近はGREEN SPRINGSも完成。立川は大変魅力的なまちですが、それは基地の返還、さかのぼれば砂川闘争があったためです。ところがいつでも砂川闘争の歴史に触れることができる場は、砂川学習館しかありません。市はその唯一の場すら無くそうとしています。それは一種の歴史の隠蔽とも言えるのではないでしょうか。
砂川闘争は今なお、憲法9条や沖縄の基地問題、日米安保条約、地方自治、司法の在り方など日本社会を考える上で大きな意味を持っています。この日本で市民自治を発展させるためにも、市民の「ノー」で政府にストップを掛けた砂川闘争の歴史を消させてはならないと思います。